こんにちは。
武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。
舌が白や黄色、茶色などの色がついていて不安に感じている方はいらっしゃいませんか。
舌苔があると見た目の印象もよくないですし、口臭の原因にもなるとも言われています。できれば取り除きたいですよね。ただ、きれいに取れなかったり、取ろうとするとヒリヒリと痛みがあったり、嘔吐反射が出てしまったり…など、うまくいかないこともあるのではないでしょうか。
舌苔は無理して取ろうとすると舌の粘膜を傷つけてしまうことがあるので注意が必要です。
そこで今回は、舌苔とは何か、舌苔が付く原因や正しい除去方法について詳しくご紹介します。まずは舌苔がついている原因を知って、つかない対策をしていきましょう。
目次
舌苔(ぜったい)とは
舌苔とは、舌の表面につく白いもので、細菌や飲食物、粘膜から落ちた屑などからつくられています。舌には細かい凹凸がたくさんあって、それらに絡まるように付着しているので、簡単には除去できません。舌苔は誰にでも薄くついているものですが、舌苔の層が厚くなると菌が繁殖してニオイの元となったり、病気を引き起こしたりします。
舌苔による影響とは
舌苔があることで起こる弊害は4つあります。
①口臭
舌苔が口臭の原因にもなります。
②誤嚥性肺炎
舌苔が多く、お口の中が不潔になると誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高くなります。
③味覚が鈍る
層のような舌苔がこびりついていると感覚が鈍くなって味覚がわからなくなることがあります。
④感染症(舌炎やむし歯・歯周病)
舌苔があるとお口の細菌叢を増やすため、舌炎やむし歯、歯周病のリスクを高めてしまうことがあります。
これらのことを防ぐためにも早めの対策が必要です。
舌の色や形で健康がわかる?!
舌は健康状態があらわれると言われています。健康的な舌はピンク色をしていて、うっすら白い舌苔があり、こすっても取れません。舌苔はうっすらついている分には問題なく、健康的な証拠でもあります。タバコやコーヒーなどの外来性の沈着物が付着して、一時的に茶色い汚れがついていることもありますが、やさしく除去したり、食事をすると自然と取れたりします。
注意が必要なのは下記のような症状があらわれているときです。
- 舌が黄色い
- 舌が黒い
- 舌が紫がかっている
- 地図状の模様をしている
- 赤くマダラ模様になっている
- 溝ができている
- ギザギザした歯形がついている
- ツルツルとしている
- 口内炎がなかなか治らない…など
舌は健康のバロメーターです。栄養状態が悪かったり、ストレスがかかっていたり、水分不足だったりすると舌にあらわれることがあります。口内炎がなかなか治らないときは腫瘍の可能性もあるので、早めの受診をおすすめします。
舌苔がつく原因は?
舌苔は会話をしたり、食事をしたりするときに、ある程度は自然に取れてきれいになります。それでも付きやすい方は下記のような5つの原因が考えられます。
①乾燥
お口の中が乾燥していると自浄作用が少なくなって舌苔が残りやすくなります。乾燥の原因は「ストレスがかかると交感神経が優位になり、唾液量が減る」「花粉症や鼻炎などで鼻が詰まって鼻呼吸ができず、口呼吸になって口が乾きやすい」「年齢とともに唾液量が減っている、もしくは元々唾液量が少ない」「水分摂取が不十分でからだの水分量が足りていない」などが考えられます。お口をきれいにしたあとに保湿ジェルを使用するのも乾燥を防ぐ方法のひとつです。
②汚れ
お口の中が汚れていると舌苔もつきやすいとされています。歯磨きも丁寧に行いましょう。ほかにも色の濃い飲食物を摂取したあとは舌苔がつきやすいです。牛乳、カレー、コーヒー、赤ワイン、鮮やかな色のガムや飴、かき氷、ぶどうやブルーベリー、タバコなどは色が残りやすいでしょう。また、舌が汚れるだけではなく、歯の着色にもつながってしまいます。これらを摂取したあとはよくうがいをしたり、お水を飲んだりすると汚れの沈着を防いでくれます。飲み物の場合はストローを使って飲むなども効果があるので試してみてください。
③舌の動き、位置や形
高齢者に多いのが、舌の動きが悪くなっていることです。動きが悪いと自浄作用がなくなり、舌苔が層となって残るため、誤嚥性肺炎などにつながることが多く見受けられます。若い方でも舌の筋力が弱く、舌が常に下がっている舌位置の問題や動きが不十分のケースもあります。心配な方はリラックスしているときの舌の位置を確認してみてください。前歯の裏側にやさしく当たっているのが正しい位置です。また溝が深い溝状舌も、汚れが入りやすく除去しにくいと言われています。舌が長すぎたり、大きすぎたり、小帯と呼ばれるすじの位置が悪かったりしても舌の動きに制限がかかって汚れが残りやすいことがあります。
④抗生物質やステロイドなど薬の影響
抗生物質やステロイドなど長期間服用することによってお口の中の細菌叢が変わります。カンジタ菌が増えて口腔カンジダ症となり、舌や粘膜に白い苔のようなものが付着することや、黒い舌苔がつく黒毛舌になりやすいことがあります。これらは厳密にいうと舌苔とは異なるので、もし舌に違和感がある場合は、念のため歯科医院にて診断してもらうことをおすすめします。
ほかにも、内科的要因として胃や腸などの消化器官の調子が悪いときにも舌の色や形に変化が現れます。ストレスもそうですが、栄養バランスが崩れているときなども起こります。健康的な生活を送ることが、舌苔がつきにくいきれいな口元の秘訣です。
舌苔の正しい取り方
舌苔は無理に除去しようとしてはいけません。まずは取るよりも付きにくくする生活習慣を送ること。その上でどうしても取り除きたい場合は、下記の方法を試してみてください。
①舌磨き
「磨く」というと歯磨きのように擦り付けるイメージを持たれるかもしれませんが、「優しく」が原則です。やわらかい湿ったガーゼや専用の舌ブラシなどを使って、後ろから前へと撫でるように動かします。このとき、前後に動かすと汚れを戻してしまうため、後ろから前の一方向で。嘔吐反射が起こる場合は「奥に入れすぎない」「鎖骨と鎖骨の間の喉元を押す」「鼻からゆっくり深呼吸する」などを試してみてください。保湿ジェルを併用することもおすすめです。
②うがい(マウスウォッシュ)
なかなか舌磨きまでできない方はうがいをします。しっかり頬や舌を動かして汚れを吐き出すように強くすると除去しやすく、また付きにくくなります。マウスウォッシュを使うと爽快感がプラスされ、細菌の繁殖を抑える効果も上がります。
③乾燥対策
舌苔をつきにくくするためにも乾燥対策をしましょう。口呼吸にならないように耳鼻科に通って鼻炎を治す、歯並びを改善して呼吸しやすい顎を整えるなども効果的です。水分摂取はこまめにします。高齢者や薬の影響で唾液の分泌量が少ない方は保湿剤を使用してみてください。
④舌運動
舌をよく動かしてつきにくくするのもおすすめです。ガムをかんだり、食事はよくかんで食べるようにしたりするだけでも舌苔付着の予防対策になります。舌を上下左右に動かしてトレーニングする方法もあります。
⑤健康的な生活を送る
タバコを吸っている方はできれば禁煙を行ない、ストレスをためないように過ごすことも大切です。リラックスしているときには副交感神経が優位になり、唾液量が増えて、サラサラとした良質な唾液が出るようになります。すると自浄作用効果が高まり、汚れがつきにくくなります。ストレスがまったくない生活は難しいと思いますが、ふと立ち止まって深呼吸をしたり、ストレッチをしたりなど、ご自身を労る時間も取り入れてみてくださいね。