インプラント治療で行われるサイナスリフトとは?治療方法や特徴を詳しく解説!

こんにちは。
武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」です。

サイナスリフトは、インプラント治療で行われる骨造成手術の一つです。

インプラント治療では、インプラントを埋入できるだけの骨の厚みや量が必要で、足りない場合には、そのままでは治療はできません。

そこで行われるのが骨造成手術です。

今回は、骨造成手術の一つサイナスリフトについて詳しく解説していきます。

サイナスリフトとは

サイナスリフトイメージ

上の奥歯の上方には上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。上顎の骨が薄く上顎洞までの距離が短いと、そのままではインプラントを埋めることができません。

サイナスリフトは、上顎の骨を増やすための治療法です。

同様に上顎の骨を増やす骨造成手術には、ソケットリフトという方法がありますが、ソケットリフトは骨の高さが5〜7mm以上ある場合、サイナスリフトは骨の高さが7mm以下の場合や多くの歯を失っている場合に適用されます。

サイナスリフトにより、骨の量を増やすことができれば、インプラント治療が可能になります。

サイナスリフトのメリットとデメリット

どんな治療にもメリットとデメリットがあるようにサイナスリフトにもメリットとデメリットがあります。両方を理解した上で治療の選択をすることが大切です。

サイナスリフトのメリット

一番のメリットは、骨の量がかなり薄くても、インプラント治療ができるようになるという点です。そのままでは、インプラント治療をあきらめなくてはいけない症例でも、インプラント治療が可能です。

サイナスリフトのデメリット

サイナスリフトのデメリットは次の通りです。

治療費が高額になる

サイナスリフトの費用は、インプラント治療とは別にかかります。

サイナスリストの手術は、多くの骨補填材が必要となり、かつ高度な技術を要するため、材料費や治療費が加算されます。自費治療になるため、治療費が高額になります。

治療期間がかかる

サイナスリフト後に骨が造成されるまで数ヶ月〜最長で1年程度の期間を要します。骨が造成されるのを待ってから、インプラント治療を行います。すぐにはインプラント治療を行うことができません。

治療後に痛みや腫れが出ることがある

サイナスリフトは外科手術になるため、治療後に痛みや腫れが出ることがあります。治療後の注意点を守ることで、痛みや腫れは緩和されるでしょう。

治療後の注意点については後ほど詳しく解説していきます。

サイナスリフトの治療の流れ

サイナスリフトの治療の流れイメージ

サイナスリフトは、インプラント手術を行う前に実施します。

治療後、骨が造られたことを確認してから、インプラント手術になります。

手順1 歯ぐきの切開

インプラント埋入予定の部分の歯肉を切開、剥離し、顎の骨の側面が見えるようにします。

手順2 顎骨を削りシュナイダー膜を露出させる

上顎洞と顎骨の間には、薄いシュナイダー膜があります。骨を削り、シュナイダー膜を傷つけないように露出させます。

手順3 シュナイダー膜を押し込み、骨補填材を入れるスペースをつくる

シュナイダー膜を傷つけないように注意しながら、シュナイダー膜を上顎洞側に押し込んで、顎骨と引き離していきます。

手順4 骨補填材を入れる

シュナイダー膜を押し込んでできた空間に骨補填材を入れていきます。

手順5 縫合

顎骨の側面に作った窓を特殊な膜や骨片で蓋をし、歯ぐきを縫合して完了です。

骨補填材によって、骨が造られるまで安静期間になります。

数ヶ月待って、骨が造られたことを確認してから、通常のインプラント治療を行います。

サイナスリフトの費用の相場

サイナスリフトの費用の相場は、15万円〜30万円程度です。お口の中の状態や骨造成の範囲によって費用が異なります。

骨の量などの詳しい検査をしてから、正確な金額がわかります。

サイナスリフトの治療後の注意点

サイナスリフトは、外科手術のため、歯ぐきを切開するなどの処置を行います。治療後は痛みや腫れが出る可能性があります。

術後の治りを良くするため、また知っておいて頂きたいいくつかの注意点があります。注意点を解説して行きます。

激しい運動や入浴を控える

術後当日は出血しやすい状態になっているので、激しい運動やお風呂に長く浸かるのは控えるようにしましょう。シャワー程度なら問題ありません。

できるだけ安静にして過ごせるようにスケジュールをしておくのが良いでしょう。

喫煙は控える

喫煙は患部への刺激になります。傷口の治りが悪くなります。できるだけ控えるようにしましょう。喫煙はインプラント治療においては、デメリットばかりです。

インプラント体が顎骨とうまく結合しないというリスクがありますし、インプラントを入れた後も、インプラント周囲炎のるリスクが高くなります。

インプラント治療を希望する場合には、今度のお口の健康を考え、今一度禁煙を検討していただくのが良いでしょう。

うがいを極力控える

術後24時間は、できるだけうがいを控えるようにしましょう。

傷口が塞がりにくくなることがあります。

固い食べ物や刺激物・飲酒を控える

術後2日〜3日は、固い食べ物や刺激物、飲酒は控えるようにしましょう。

摂取後に痛みや腫れが出る心配があります。

内出血が起こることがある

サイナスリフトの術後は、顔や首に青あざができることがあります。内出血は次第に黄色っぽくなり、7日前後で消失しますので、大きな心配は入りません。

鼻を強くかまない

上顎洞は、鼻とつながっている副鼻腔の一つです。鼻を強くかむ行為は、大きな負荷がかかるので、術後の経過がよいと判断されるまで、控えるようにしましょう。

同様に、運動や歌唱など、激しい呼吸を伴う行為も控えるのが望ましいでしょう。

鎮痛剤・抗生物質を用法通りに服用する

術後は、鎮痛剤や抗生物質が処方されます。用法通りに服用するようにしましょう。鎮痛剤は痛みが無ければ、飲むのをやめて構いませんが、抗生物質は必ず飲み切るようにしましょう。

術後、麻酔が切れてからの痛みが心配な場合には、麻酔が切れる前に鎮痛剤を1回分、服用しておくと安心です。

他の骨造成法との違い

他の骨造成法との違いを説明している医師

サイナスリフト以外に、代表的な骨造成法には、ソケットリフト・GBR法があります。それぞれの違いについて簡単に解説します。

ソケットリフトとサイナスリフトの違い

ソケットリフトも、サイナスリフト同様、上顎の骨の厚みが足りない場合に用いられる骨造成法ですが、サイナスリフトよりも増やす骨の量が少ない場合に行われます。骨の厚みがある程度ある場合が適応となります。目安として5mm〜7mm以上です。

サイナスリフトが顎骨の側方から手術を行うのに対して、ソケットリフトの場合は、歯があった部分・抜歯後の穴から処置を行います。

また同時にインプラント埋入手術を行うことができるので、患者様への負担は少なくなります。

GBR法とサイナスリフトの違い

サイナスリフトは上顎に適用される治療法ですが、GBR法は部位に決まりはなく、主に下の奥歯や前歯の骨量や高さが足りない場合に用いられる方法です。

骨が足りない部分に骨補填材を入れ、メンブレンという膜で覆い、骨再生を促します。骨誘導再生法とも言われます。

インプラント手術と同時にできる場合もありますが、先にGBR法を行う場合もあります。

まとめ

サイナスリフトは上顎の骨の量が足りない場合でも、インプラント手術が可能になる施術です。費用や身体的な負担はありますが、通常ではインプラントを諦めなくてはいけないような骨が少ない症例でも、インプラント治療ができるようになります。

サイナスリフトが必要かどうかは、インプラント手術前のCT検査などにより、骨の量を確認してから分かります。

骨の量が足りない場合には、歯科医師と相談の上、治療を行うか決めるようにしましょう。