実はすごい!唾液の7つの働き

歯磨きをしている女性

私たちのお口の中では、常に唾液が分泌されています。当たり前のことですから、普段は意識することが少ないかもしれません。しかし、唾液はさまざまな役割を担っており、常に私たちの健康を守ってくれています。

例えば、虫歯を予防したり、食べ物の消化吸収を助けたり、細菌を抑制して感染症や口臭を予防したり。食べる、話す、飲み込むなどのお口の機能が正常に働いているのも、唾液のおかげなのです。

ですから、唾液の分泌量が十分でないと虫歯や歯周病のリスクが高くなったり、飲み込みにくくなる、話しにくくなるなど、身体のさまざまな機能に影響がでてきてしまいます。

そこで、今回は唾液の働きについて解説します。唾液が少なくなる理由や分泌量を増やす方法についても詳しく解説していきます。

実はすごい!唾液の働き7つ

唾液にはさまざまな働きがあり、常に私たちの健康を守ってくれています。唾液の働きや効果は次の通りです。

消化を助ける

唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼには食べ物に含まれるデンプンを分解して吸収しやすくする働きがあり、胃腸への消化負担を軽減しています。

食べ物を飲み込みやすくする

クッキーやさつまいもなどのパサパサした食べ物でも、しっかりと噛んで飲み込めるのは唾液があるからです。唾液中のムチンと呼ばれる成分が食べ物をまとめて飲み込みやすくしてくれます。また、唾液は口の中が傷つかないように保護する役割も担っています。

お口の中を清潔に保つ

唾液にはお口の中の食べカスを洗い流す作用があります。これを唾液の自浄作用と言います。この自浄作用が働くおかげで、食べカスを餌とする細菌の繁殖を防ぎ、虫歯や口臭を予防することができます。

味を感じやすくする

舌には味蕾(みらい)と呼ばれる味を感じるセンサーがあります。唾液が食べ物に含まれる「味を感じる物質」を運んでくれることで味を感じることができます。

緩衝作用

お口の中のpHは基本的に中性ですが、食事をすると酸性に傾きます。そして、酸性の状態が長く続くと歯の表面が溶けて、やがて虫歯になってしまいます。

唾液には酸性の口腔内を中性に戻す働きがあり、これを「唾液の緩衝作用」と言います。唾液の緩衝作用が高いほど、虫歯になりにくいと言えます。

虫歯予防(再石灰化)

唾液に含まれているリンやマグネシウムなどのミネラルが、お口の中の酸によって溶けてしまった歯の表面を修復してくれます。これを「再石灰化」と言います。

虫歯になる一歩手前の状態でも再び強い歯質を作ることができるのは、この唾液の再石灰化作用のおかげなのです。

殺菌・抗菌作用

唾液には細菌の働きを抑制する抗菌作用があります。これにより、外から入ってくるウイルスや細菌の活動を抑え、身体の中への侵入を防いでいます。

唾液が少なくなると、どんな影響があるの?

唾液が少なくなるとどんな影響があるのか伝えている歯科医師

唾液が少なくなると唾液の持つさまざまな効果が低下してしまいます。

例えば、唾液は食べカスを洗い流す自浄作用によって細菌の繁殖を防いでくれていますが、唾液が少ないと自浄作用が低下し細菌が停滞してしまいます。その結果、虫歯菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。

そのほか、口臭がする、入れ歯を装着しにくくなる、食べ物を飲み込みにくくなる、口内炎ができやすいなど、さまざまな症状が引き起こされます。

  • 虫歯や歯周病のリスクが高くなる
  • 口臭がする
  • 入れ歯を装着しにくい
  • 口内炎ができやすい
  • 口の中がネバネバする
  • 食べ物が飲み込みにくい
  • 会話がしにくい
  • 味がよくわからない

唾液が少なくなる原因って?

唾液の分泌量が少なくなる原因は、次のことが挙げられます。

  • ストレスや緊張
  • 加齢によるもの
  • 薬の副作用
  • シェーグレン症候群
  • 全身疾患
  • 喫煙
  • 口呼吸

唾液が減少する原因はさまざまありますが、なかでも顕著に現れるのがシェーグレン症候群によるものです。シェーグレン症候群とは自己免疫疾患のひとつで、涙腺と唾液腺に障害を起こしてしまう病気です。

改善策を講じても唾液の減少が治らない、効果が出ないという方は、医療機関を受診して適切な処置を受けましょう。

唾液の分泌を促す方法

自分の歯をチェックしている女性

唾液は毎日のちょっとした工夫で分泌量を促すことも可能です。口の中の乾燥が気になる方は、次の方法を実践してみてください。

水分を補給する

まずは、水分補給を心がけましょう。喉の渇きは水分不足のサインです。水分をとってお口の乾燥を防ぎましょう。

リラックスして過ごす

唾液は自律神経によってコントロールされています。リラックスしている時はサラサラした唾液が分泌されてお口の中が潤いますが、緊張したりストレスを感じるとネバネバした唾液が分泌されます。

ストレスや生活習慣の乱れによって、唾液の分泌量は減少します。決まった時間に食事を摂る、しっかりと睡眠時間を確保するなど、規則正しい生活を心がけて唾液の分泌を促しましょう。

唾液腺のマッサージ

唾液を作る唾液腺は、耳の横にある「耳下腺」、舌の下にある「舌下腺」、顎の下にある「顎下腺」が存在します。この唾液腺に刺激を与えることで、唾液の分泌を促すことができます。優しく円を描くようにマッサージをすると、唾液の流れが良くなります。

舌の運動

舌を動かすことも唾液の促進に効果的です。舌を上下・左右に動かしたり、舌打ちのような音(タタ・ララ)などと発音すると、唾液腺が刺激されて唾液が出やすくなります。

食事の際にしっかり噛む

しっかりと噛むことも唾液の分泌にとって有効です。大きめに切った野菜など、噛みごたえのある食材を加えてみるのも良いでしょう。

そのほか、キシリトールガムを噛んだり、梅干しのような酸っぱいもので唾液腺を刺激する方法もあります。

まとめ

唾液は私たちが健康を維持するために、さまざまな役割を担っています。食べる、飲み込むなどのお口の機能に関連した働きはもちろん、虫歯を予防したり、細菌やウイルスの侵入を防いだり、胃腸への負担をサポートしたりなど、口腔内だけでなく全身の健康維持にも欠かせない要素だと言えるでしょう。

ですから、何らかの原因で唾液の量が減少してしまうと、さまざまな問題が発生しやすくなります。虫歯や歯周病になりやすくなったり、口臭が発生したり、風邪を引きやすくなったり…。健康な身体づくりのためにも、唾液の分泌量をしっかりと意識することが大切です。

「最近なんだかお口が乾く…」と感じている方は、まずは生活習慣を見直しましょう。よく噛んで食事をとり、規則正しい生活を心がけることで改善する場合もあります。

また、薬の副作用や病気が原因となっていることもあります。口の乾燥が気になる方は、かかりつけの医療機関を受診してください。