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全身に悪影響!?歯周病と糖尿病の関係とは?
歯周病は口の中の病気、糖尿病は血液に関する病気。一見、関係がなさそうなふたつの病気ですが、実はとても深い関わりがあります。それは、歯周病になったら糖尿病を疑った方がいいと言われていること。さらに、糖尿病の人は、健常な人に比べて歯肉炎や歯周病にかかっている人が多いということからもわかります。歯周病と糖尿病、どういった関係があるのでしょうか。
糖尿病って、いったいどんな病気?
糖尿病は、血液中の糖分をエネルギーに変換するインスリンの働きが低下し、食事で摂取した糖分が体内に吸収されにくくなる病気です。体内に糖分が吸収されないと、糖分が血液中にとどまってしまう高血糖の状態が続き、心臓病や腎臓病、脳卒中、さらには失明などの合併症を引き起こすのです。この糖尿病は世界でも増加傾向にあり、なんと、世界の人口約70億人中4億2,200万人(2014年・WHO発表)にものぼります。
そんな中、近年、歯周病が糖尿病と深く関わる病気であることがわかってきたのです。
糖尿病と歯周病が、なぜ関連しているの?
これまでは、糖尿病にかかってしまうと抵抗力が下がることから、さまざまな合併症を引き起こすと言われてきました。また、糖尿病になると白血球の機能が低下し、細菌に対抗する力も弱まるため、完治するのが難しいとも言われています。このように、抵抗力の低下が原因で、歯周組織が歯周病菌に感染しやすくなることから、「糖尿病になると歯周病になりやすい」と思われていましたが、最近では、「歯周病自体が糖尿病を助長させている」ということもわかってきたのです。
歯周病菌は、炎症を起こしている歯肉から血管に侵入し、なんと全身をめぐっていきます。血管に細菌が入ると、体の抵抗力で細菌自体は死滅しますが、実は細菌の死骸がもつ内毒素というものが、血糖値に悪影響を及ぼします。それにより、インスリンに抵抗する力が大きくなってしまい、糖尿病と同じ症状である高血糖が続いてしまうのです。
また、歯周病も糖尿病も、同じ「生活習慣病」だということも挙げられます。歯周病が起こりやすくなるのは、運動不足やバランスの悪い食生活、ストレスを感じやすい環境などですが、糖尿病が起こりやすくなるのも、また同じなのです。
歯周病を予防することで糖尿病が予防できる!
糖尿病になると歯周病になりやすいわけですが、逆もまた然り。例えば歯周病をしっかりと治療すると、糖尿病が治る可能性があり、発症していない場合は歯周病を予防することで、糖尿病の予防にもなります。では、歯周病と診断された場合の、対策をご紹介します。
歯みがきを見直す
歯周病は、予防することと、かかってしまった場合に進行を止めることが大切です。そのためには、まずは歯みがきを見直しましょう。クリニックで、歯科衛生士からしっかりと指導を受け、毎日ていねいに歯みがきを行ってください。歯みがきを見直すついでに、歯ブラシもこまめに取り替えるようにしましょう。また、歯ブラシだけでは取り切ることができないプラークもありますので、デンタルフロスや歯間ブラシなども活用するのと良いですね。
生活習慣を見直す
歯周病も糖尿病も生活習慣病です。生活習慣を見直す第一歩は、食生活。甘いものやプラークが残りやすい柔らかいものは、たくさん摂らないように注意しましょう。特に寝る前はNGです。それから、喫煙されている方は、控えるか禁煙を心がけましょう。喫煙も歯周病を促進してしまう働きがあります。さらに、就寝中の食いしばりや歯ぎしり、口呼吸なども歯周病の原因になります。寝ている時はわからないので、家族にチェックしてもらい、もし食いしばりや口呼吸をしている場合は、歯科または耳鼻咽喉科で相談してみてください。
まとめ
歯周病と糖尿病には、切っても切れない深い関わりがあります。気になる方は、少しでも生活習慣を見直し、お口の健康も維持できるよう心がけましょう。