日本人の予防歯科に対する意識も年々と高まり、子供の虫歯予防に不フッ素を取り入れている保護者の方も多くいます。
虫歯予防といえば「フッ素」が思いつくほど、身近にフッ素入りのデンタルケアグッズが売られています。
子供の虫歯予防には、フッ素が良いということは多くの方がご存知です。
しかし、フッ素がなぜ虫歯予防に良いのか?本当に安全なのか?どのようにフッ素を取り入れたら良いか?などフッ素について疑問もあると思います。
今回は子供の予防歯科に欠かせない、フッ素について解説していきます。
目次
フッ素って何?
そもそも「フッ素」とはなにか疑問ではないでしょうか?
フッ素は元素名で単体では存在できず、必ず何かと結合してフッ化物となり川や海、山などの自然界に多くあります。
私たちの体の中にもフッ素は存在していて、歯や骨を丈夫にする役割があります。
また、食べ物や飲み物にも少し含まれていますが、虫歯予防に効果的な量には達していません。
色々な物と結びついて存在するフッ素ですが、歯科で使用するフッ素はナトリウムと結合して「フッ化ナトリウム」となり虫歯予防に使われています。
フッ素が虫歯予防に効く3つの役割
子供の乳歯や生えたばかりの永久歯は、エナメル質が柔らかく弱いので簡単に虫歯になりやすい状態です。
そこで虫歯になりやすい子供の歯には、虫歯予防にフッ素が役に立ちます。
フッ素には下記の3つの効果があります。
再石灰化を促進
食事をする度に虫歯菌は、口に入った食べ物を餌にして酸を作り出します。
特に食事の直後は、虫歯菌の活動が活発になります。
虫歯菌が作った酸で、歯の表面のミネラルが溶け出す「脱灰」が起こります。
そこで、唾液中にあるミネラルのリン酸やカルシウムが取り込まれて、歯を修復す「再石灰化」が起こるのです。
私たちの歯は食事の度に、脱灰と再石灰化を繰り返しています。
フッ素は歯の修復に大切な、再石灰化を促進する働きがあります。
初期虫歯の場合、再石灰化の働きで虫歯を治すことも可能なのです。
耐酸性を強化する
生えたての永久歯や乳歯は、エナメル質が柔らかくて弱く虫歯になりやすく、虫歯になった場合は進行が早い傾向になります。
フッ素は、虫歯菌が作り出す酸に強くなる「耐酸性」が強化されます。
歯の表面にあるエナメル質の成分である、「ハイドロキシアアパタイト」は硬いのですが、酸に弱く溶けやすい成分です。
そこで、唾液の働きの再石灰化で一緒にフッ素を取り込むと、「フルオロアパタイト」に変わり歯が強化されます。
フルオロアパタイトに変わったエナメル質は酸に強くなり、虫歯になりにくく強化されます。
虫歯菌の活動を抑制する
フッ素は、虫歯菌が酸を作る働きを抑えます。
虫歯菌は糖が大好きなのですが、糖は甘いお菓子意外にも様々な食品に含まれています。
虫歯菌は酵素を使って糖を分解して、エネルギーとして活発に活動します。
フッ素はこの酵素の働きの邪魔をして、虫歯菌の活動を弱める働きがありま
す。
虫歯菌の元気が無くなると、虫歯の原因である酸が作り出されず、結果として虫歯になりにくくなります。
フッ素の安全性
フッ素が虫歯予防に効果的なのは分かっても、安全性が気になる保護者さんいると思います。
インターネットでも色々なことが検索すると出てくるので、我が子に虫歯予防といえフッ素を使って良いのか心配になる方もいるでしょう。
フッ素は「危険」「人体に悪影響」「毒」など検索すると色々と出てきますが、それはフッ素単体の場合です。
フッ素は単体の元素記号の場合は気体で猛毒ですが、単体では自然界では存在できず必ず何かと結びついた「フッ化物」として存在します。
歯科で使うフッ素はその中でも特に安全性が高い、「フッ化ナトリウム」ですから安心して使えます。
フッ素中毒の心配
薬やサプリメント、食品なども過剰に摂取すると中毒が起こります。
フッ素も一度に大量に摂取するとフッ素中毒になりますが、売られているものは濃度が安全に調整されています。
フッ素入りの歯磨き粉やジェルを、一本丸々飲み込む事をしない限り題はありません。
歯科医院で行うフッ素塗布も、歯科医師や歯科衛生士が適切な濃度を患者さんに塗布するので、フッ素中毒の心配はありません。
任意で行なっている学校で行うフッ素洗口も、決められた適切な濃度で行うので安心して下さい。
フッ素は何歳からできるの?
フッ素は歯が生えてきたら、直ぐに塗布できます。
生えたての乳歯は弱く柔らかいので、早めにフッ素を使って歯を強化することで徐々に虫歯になりにくくします。
歯の生える時期は個人差がありますが、生後6ヶ月くらいから下の歯から生え始めます。
早いうちからフッ素塗布をして歯医者酸に慣れておけば、将来は虫歯知らずの健康な歯を保てるでしょう。
歯科医院で行うフッ素塗布
歯科医院では定期検診の時に、子供にフッ素塗布を行います。
少し酸っぱい味がするけれど、子供に少しでもフッ素塗布が嫌いになってもらわないために、りんごやぶどう味など子供好みに工夫もされています。
歯科医院のフッ素塗布は、PMTCといって特殊なクリーニングをしてから行います。
PMTCはプ歯科医師や歯科衛生士が行うクリーニングの事で、歯ブラシでは取り除けない汚れも専用の機械で取り除きます。
PMTCをする事で歯にフッ素を取り込みやすくして、フッ素の効果を十分に発揮します。
子供は唾液量がとても多いので、フッ素塗布の時は唾液を綿でブロックして歯にしっかりとフッ素を取り込む工夫もします。
自宅でできるフッ素ケア
自宅で歯磨きをする時に毎日フッ素を取り入れる事で、高い虫歯予防の効果を発揮します。
自宅でできるフッ素ケアは、歯磨き粉・フッ素ジェル・フッ素洗口液があります。
フッ素入り歯磨き粉
フッ素入りの歯磨き粉でいつも通り歯磨きをしますが、ゆすぐ時がポイントです。
フッ素がお口の中にしっかりと残るように、軽く1・2回ゆすぐ程度にしましょう。
少し気持ち悪いかもしれませんが、歯磨き粉が残るくらいが良いのです。
きれいにうがいをしてしまうと、せっかくのフッ素がお口の中に残らず、フッ素入りの歯磨き粉を使う意味がありません。
フッ素ジェル
こちらは歯磨き後に塗布する、フッ素ジェルです。
子供にも人気な、バナナやぶどう、ピーチなどのフルーツ味もあり毎日楽しくフッ素ケアを続ける事ができます。
歯の全体に塗布した後は、30分以上は飲食しないことでフッ素を歯取り込む事ができます。
ジェ状で、歯に停滞しやすいのが特徴です。
フッ素洗口液
歯磨き後のうがいをしっかりとしたい方や、ジェルが口の中に残るのが苦手な方は洗口液がおすすめです。
飲み込んでしま心配があるのでお子さんが使用する場合は、うがいが確実にできるようになってからが良いでしょう。
こちらも同様に洗口後、30分は飲食やうがいを控えましょう。
フッ素の持続効果
歯科医院で行う、フッ素塗布の効果は約3ヶ月です。
お子さんの歯は弱く虫歯になりやすいので、3ヶ月毎に定期検診をしてフッ素塗布を行いましましょう。
定期検診までの間は自宅でできるフッ素ケアを、毎日行う事が虫歯予防に大切です。
フッ素塗布で注意したい事
歯フッ素を塗布した後は、30分以上飲食やうがいをしない方がフッ素をお口の中に長く残し、歯にしっかりと取り込む事ができます。
また、夜に眠りにつくと唾液の分泌が減り虫歯になりやすくなるので、自宅でフッ素を使う場合は就寝前が良いでしょう。
まとめ
フッ素は年齢を問わず虫歯予防に効果的ですが、特に歯が弱く虫歯になりやすい子供にお勧めの方法です。
歯科医院で高濃度のフッ素塗布をしてもらい、自宅では低濃度のフッ素の使用を毎日続けると、より一層虫歯予防の効果も高くなります。
しかし、フッ素を取り入れても歯磨きが不十分であったり、甘いお菓子ばかり食べていると簡単に虫歯になってしまいます。
基本的な歯磨きと食生活にプラスして、フッ素を取り入れる事が虫歯予防には大切な事です。