キシリトールは、虫歯予防の効果があることで歯科医師からも推奨されている成分。自然界に存在する甘味料として知られています。なぜ虫歯予防や虫歯治療に効果があるのでしょうか。歯科医師が推奨する理由と効果について、紹介していきましょう。
虫歯の原因にならない糖アルコール
糖アルコールは甘味がある物質として知られており、通常の糖類と異なり小腸から吸収されにくい性質を持っています。加えて糖アルコールにはグリセリンやソルビトールなど、複数の種類が知られており、その全てが虫歯の原因とならない物質です。
これらが虫歯の原因とならない理由は
・摂取することによりプラークの酸性度が5.7以下にならない
・虫歯の原因となる酸を生産しないこと
・唾液の分泌を促すこと
が挙げられます。こうしたことは、科学的にも認められているのです。キシリトールも糖アルコールの一種であり、虫歯予防に対する効果も同様に持っています。さらにキシリトールには他の糖アルコールにはない「虫歯の進行や発生を抑制する効果」という嬉しい点も。また、1997年より食品添加物としても認可され、多くの食品に甘味料として使われるようになりました。
大量に摂取しても大丈夫?キシリトールの安全性
虫歯の予防と抑制に効果があるキシリトール。しかし「大量に摂取しても大丈夫なの?」と心配になる人もいるでしょう。いくら虫歯予防・抑制に効果があると言っても、大量に摂取することによる体への害はないのでしょうか?
キシリトールは人工的に作られたものと自然に存在するものがありますが、どちらも成分的にはほぼ同じ物質です。実は毎日キシリトールを67gも摂取し続けた人がいて、その記録の中でも体への影響は特になかったとあります。
ちなみに、虫歯予防に効果を発揮する十分な摂取量は1日10g。日本では医療用の点滴にもキシリトールが含まれています。体の中に入れる炭水化物として利用されてきた経緯もあり、長期的な臨床を経て認可されてきたのです。
キシリトールだけが虫歯の抑制効果を持っている!?
キシリトールそのものには、虫歯菌や酸を抑制する効果はありません。虫歯菌の一種であるミュータンス菌に取り込まれることによって、初めて抑止効果を発揮します。
ミュータンス菌に取り込まれたキシリトールは、キシリトール5リン酸という物質に変化。この物質はミュータンス菌のエネルギーのみを消耗させます。加えてこの物質は、一部ミュータンス菌内に蓄積し、動きを阻害することで酸を抑止するのです。こうして虫歯になりにくい口内環境ができあがっていきます。さらに、キシリトールの摂取を続けることにより、ミュータンス菌自体が変化。虫歯を引き起こしにくい菌に変異していくことが分かっています。こういった理由から歯科医師からも虫歯予防に対して摂取を奨められているのです。
ただし、キシリトールの効果を期待するためには市販のキシリトールガムでは不十分です。歯科医院で販売されている専用のキシリトールガムが最も適しています。虫歯予防効果を期待できる基準は、成分内の糖類が0であることとキシリトールの含有量が50%を超えているものが望ましいでしょう。
キシリトールで虫歯が治る範囲は?
キシリトールは歯の再石灰化を促す効果があり、歯の再生を助ける働きも期待できます。この効果により、虫歯になりかけていた歯が修復されて治ることもあり、セルフケアの大きな助けになるでしょう。しかし、この効果で修復できるのはC0の本当に初期の虫歯に限ります。表層のエナメル質の内部にまで達してしまった場合(C1以上)は治療が必要になるので、医師に相談してください。既に進行してしまった虫歯に対しては、その治療効果までは望めないことを念頭に置いておきましょう。
キシリトールは虫歯予防に最適な成分です。セルフケアや虫歯予防の観点からも、積極的に摂取していきたいですね。